「日本食品標準成分表2010」を活用しましょう!
千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科 渡邊智子
◎3つの日本食品標準成分表:
「日本食品標準成分表2010(以下、成分表2010)」は、平成22年に「日本食品標準成分表準拠アミノ酸成分表2010(以下、アミノ酸成分表2010)」と同時に公表されました。
「成分表2010」は、「五訂増補日本食品標準成分表(以下、五訂増補成分表)」に7つの成分項目(「アミノ酸組成によるたんぱく質(以下、新たんぱく質)」「トリアシルグリセロール当量(以下、新脂質)」「ヨウ素」「セレン」「クロム」「モリブデン」「ビオチン」)を追加収載したものです。
「成分表2010」の収載食品は、五訂増補成分表の収載食品数と同じであり、食品群別留意点、調理変化率表などもほぼ同じものです。
成分表の名称は、最新の情報が収載されているかを明確にする観点から公表年が加わりました。
最新の「日本食品標準成分表」は、「成分表2010」「アミノ酸成分表2010」「五訂増補成分表脂肪酸成分表編(以下、脂肪酸成分表)」の3つです。3つの成分表は、食品番号が同じであれば同じ食品の成分値を収載しています。
◎3つの成分表で共通する概念:
食品成分表は、日本において常用される食品について標準的な成分値を収載しています。標準的な成分値とは、国内において年間を通じて普通に摂取する食品の全国的な平均値という概念に基づいた値です。あなたが常用している食品とは異なる場合もあります。成分表に収載されている食品の標準が何かは、各成分表の食品群別留意点である程度理解できます。
◎新成分項目の活用:
「ヨウ素など5成分」の収載により「日本人の食事摂取基準[2010年版](以下、「摂取基準2010」」に対応できます。「新たんぱく質」「新脂質」は、FAOが「好ましい方法」とし推奨しています(五訂増補成分表のたんぱく質および脂質の分析方法は、「許容し得る方法」)。この2成分に関しては、世界に先んじた収載です。これらの7成分の収載食品は限られている(表1)ので、栄養価計算には工夫が必要です。
◎栄養価計算:
栄養価計算では、「摂取基準2010」が従来の「たんぱく質」および「脂質」として定められていることなどから、従来の「たんぱく質」および「脂質」を用います。「新たんぱく質」および「新脂質」を用いると実摂取栄養量に近似しますので、収載食品が限られているものの精度の高い栄養計算、従来方法との比較研究などに使います。
栄養価計算結果を示す場合は、用いた成分表の正式な名称、たんぱく質および脂質は「従来」か「新」のどちらを用いたかを明記します。
*文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会編の「成分表2010」「アミノ酸成分表2010」「脂肪酸成分表」の3つ成分表を読み(特に、食品群別留意点など)、有効に活用してみましょう。
表1.成分表2010の収載食品数
(★その成分が収載されていることを示す) |
アミノ酸組成による
たんぱく質 |
トリアシルグリセロール当量 |
微量5成分 |
|
★ |
★ |
★ |
145 |
★ |
★ |
|
105 |
|
|
★ |
31 |
|
★ |
★ |
199 |
★ |
|
|
11 |
|
★ |
|
808 |
|
|
★ |
123 |
|
|
|
456 |
292 |
1257 |
498 |
1878 |